センター長挨拶

ごあいさつ

センター長 松本 勉

昨今、産業構造は経済活動のグローバル化とシンクロして急激に国際化し、技術革新も先進国を凌ぐ意欲的な新興国も含めた競争時代に突入していることは周知の事実です。2000年以降に工業系の高等教育機関が一斉に取組み始めた教育プログラムのJABEE認定も、世界標準の技術者を日本の高等教育機関が育成することを産業界・教育界の協同による取組であり、そのような社会情勢が背中を押しているといえます。高専においても“国際的に活躍できる創造的技術者育成(グローバル人材)”を目指した教育システムへのステップアップを中期計画にも明記され組織的な取組みが求められているところです。
高専では、5年間のカリキュラムで専門とする技術領域において大学4年卒業生に匹敵する学術的知識水準を凌駕するほどの技術知識を習得させるために過密な教育スケジュールが組まれていますが、これにさらなる能力涵養を図るには、教育カリキュラムの単純な組み換えではなく、より根本的な技術者教育のメソッドの改革が必須であると我々は考えています。
医学分野では、以前より、医学・医療技術の発展に適応して医療従事者の教育メソッドとして課題解決型学習のアプローチ、すなわちPBL(Project/Problem Based Learning) が導入されていましたが、課題解決能力の育成という視点より多くの工学教育機関・組織において積極的に導入されています。また、複雑化する社会構造の中、就職後の早期退職者の急増に象徴されているように、キャリア設計能力の不足が原因と考えられる、修得した技術知識に不整合な職業観の未成熟によるミスマッチ事例の多発という問題も顕在化しており、これらの能力養成においてもPBLが有力な手法として注目されています。
熊本高専は2009年10月に、旧熊本電波高専と旧八代高専とを前身に全国4地区に設定された地域の拠点となる新しいタイプの高専として生まれ変わり、3センターを中心に九州・沖縄地区の高専と連携して地域拠点事業を展開することになりました。PBL・総合教育センターはその中の教育改善を指向したセンターであり、まさに上述の教育課題の解決に向けた総合的活動を実践することを目的として設立しました。すなわち、①PBL利用教育事業②国際化教育事業③キャリア教育事業、そして④科学技術教育支援事業の4事業に取り組むものです。
出前授業を中心に、地域の小・中学校教育界や一般市民との協同による連携理科教育・科学技術教育支援、そして教員講習会や公開講座も含めた地域連携活動の社会要請に応える任務も果たすことが期待されており、そのような活動を技術者教育と連動させる方法についても研究することを計画しています。
熊本高専は、九州沖縄地域の拠点校として、これらの4事業の教育活動研究を展開すると同時に各高専との情報共有と連携活動の促進を図ることを目指しています。