最新CG技術の実用化における産学連携の取り組み

~ アニメを少ないコマから簡単に自動作成出来る「アニメエンジン」の開発 ~

人間情報システム工学科 教授 孫 寧平

近年、急速なデジタルメディアの変遷と進化に伴い、コンピュータ・グラフィックスに関する研究と開発は盛んで日々躍進しています。熊本高専情報工学科(人間情報システム工学科)孫研究室では、CG・3DCGに関する研究と開発を進めると共に最新CG技術の実用化を目指しました。平成18年度より3年間(財)くまもとテクノ産業財団のご支援協力を頂き、特許の出願、熊本県の中小企業(株) ジェイ・ムーブと連携開発を行いました。より使いやすく、機能のよいCGの表現方法を考案し「アニメエンジン」などのシステムを開発しました。さらに、連携研究成果を社会に発信するために熊本県産学官技術交流会をはじめ、国内学会やSIGGRAPHなど有名な国際学会での発表を行いました。ここでは、これらの取り組みを紹介します。
国内ではアニメーション産業が非常に盛んで毎年数多くの作品が作られていますが、その現場はとても過酷な労働を強いられるものであると伝えられています。アニメーションの作成の際に多数の絵(フレーム)が必要になることがその原因であると考えられます。そのような状況を改善するために、動きの「核」となる部分を描いた少数のフレーム(キーフレームまたはコマ)から自動的にアニメーションの作成を行う「アニメエンジン」と呼ばれるシステムを設計し構築しました。キーフレームでのキャラクターの描画や編集が手軽くできるようなインターフェイスを設け、また高速なアニメの補間方法を提案し実装しました。システムの開発において、(株)ジェイ・ムーブから多大なご支援、珍重なご助言を頂きました。システムをテストした時に、会社のアニメーターが学校に常駐して、システムの改良と実用化について開発チームと切磋琢磨しました。
図1.「アニメエンジン」での作業風景 図2.キーフレームとインターフェース
開発した「アニメエンジン」の描画インターフェイスはペンタブレットを利用可能になっています(図1)。アニメのワンシーンのコマ、例えば図3(a)のキーフレーム(コマ)1と(b)のキーフレーム(コマ)2を図2のインターフェイス上で描画と編集したあと、「アニメエンジン」のカメラワーク機能を用いた背景などを加えて再生すると、滑らかな動画ができます(図4)。
(a)キーフレーム(コマ)1 (b)キーフレーム(コマ)2

図.3アニメワンシーンの二つのキーフレーム

図.4出来上がった動画

「アニメエンジン」は日本のアニメ(2Dアニメーション)コマの間のキャラクターの動きの補間や製作を自動で行うことを目標としました。現在、アニメ作成には大変な労力を必要としますが、それをできるだけ軽減することを目指しています。
最後に、「アニメエンジン」の開発を通して産学連携はものづくりに欠かせないであることを痛感しました。今後も続けていきたいと考えています。