主任 中島 栄俊
1.はじめに
本研究部では、(1)知能移動ロボットに関する研究(2)知的医療介護支援システムに関する研究(3)Internet Multimedia等に関する研究に取り組んでいます。 近年は特に(1)(2)のテーマを発展させた「人間行動適合型生活支援システム研究開発プロジェクト」を中心に据え、人間-機械協調制御システムなどの発展的研究活動を遂行しています。ここでは、最近の研究開発事例のいくつかを紹介します。
2.活動内容
2.1 無線LANによる遠隔操縦モデルカーの開発 (プロジェクトリーダー:中島栄俊)
人間の触・力感覚とコンピュータネットワークを用いてモデルカーに乗車している感覚で操縦可能なシステムの構築を目的とするプロジェクトです。開発したシステムは、①インターネットから操縦可能②自動車の運転席と似た操縦席 ③操縦者はモデルカーの加速を体感可能 ④モータでエンジン出力を表現などの特徴をもっています。



2.2 ハンドフリーインテリジェント車椅子の開発 (プロジェクトリーダー:大塚弘文)
日常生活において物体を両手で把持しつつ移動を伴う作業は非常に多いのですが、車椅子利用者はジョイスティック操作や車輪操作のための手操作を余儀なくされ、実現可能な手作業は制約されます。本プロジェクトの目的はハンドフリーで操縦可能な電動車椅子の提案です。操縦者が呼気による速度調節と顎部による動作切替えスイッチ操作で操縦するシステムを開発しました。

ハンドフリーインテリジェント車椅子
2.3 手書き動作によるリハビリシステムの開発 (プロジェクトリーダー:柴里弘毅)
平成22年12月1日~3日に千葉幕張メッセで開催されたセミコンジャパン”The高専@セミコン”(本校を含め11高専が合同展示ブースにて)「手に震えがある方の書字をアシストする装置の開発」の展示と、ペン型の力覚装置を使った書字動作のアシストのデモを行いました。震戦の症状のある筆跡から震え成分を除去し筆跡特徴を保持しつつリアルタイムに書字提示するというアプローチにより書字アシストを行うシステムを開発しています。
![]() |
![]() |
| 書字アシストシステム | セミコンジャパン展示の様子 |
2.4 マスタースレーブ型CPM装置の開発 (プロジェクトリーダー:野尻紘聖)
外傷後あるいは手術後の関節に対して連続的に外力を加えて能動的に回復を目的としたリハビリ運動を支援する機器(CPM)の開発研究に取り組んでいます。本プロジェクトでは、肩関節リハビリテーション装置のほか、図に示す健腕(マスター)により患腕(スレーブ側)を他動運動させるマスタースレーブ型肘用CPM装置を開発しています。特に後者の装置では、インピーダンス制御を用いて操作感の向上を図ることに成功しました。

3.おわりに
本研究部では、以上で紹介したプロジェクトの他に、人間-機械系における人間の制御特性補償器(コラボレータ)に関する研究、健康生活を支援するレシピ提供システム開発などにも取り組んでいます。引き続き、これら「人間行動適合型生活支援システム」プロジェクトを中心に精力的に研究開発に取り組みます。また、基盤技術である組込みシステム技術を駆使し様々な共同研究や受託研究、技術相談などあらゆる産業界をはじめとする社会の要請にお応えできるよう努力してまいります。
4.最近の業績一覧
- 柴里, 大塚, 川路, 上肢運動モデル, 特願2010-94514
- 藤本,野尻,大塚,田畑,マスタスレーブ型上肢用CPM装置の開発,電気学会 九州支部平成22年度(第1回)高専卒業研究発表会,pp.33-34 (2011).
- 前田,野尻,大塚,拮抗構造を有する空気圧人工筋ロボットアームの制御,電気学会九州支部平成22年度(第1回)高専卒業研究発表会,pp.29-30 (2011).
- 上田,中島,藤本,山本,強化学習を用いたイモムシ型ロボットの歩行獲得性能に関する検討,電気学会九州支部平成22年度(第1回)高専卒業研究発表会,pp.21-22 (2011).
- 鍋島,柴里,大塚, 上肢運動のモデル化について,第25回 熊本県産学官技術交流会講演論文集, pp.172-173 (2011).
- 市川,和田,柴里, 書字動作アシストシステムに関する研究,第25回 熊本県産学官技術交流会講演論文集, pp.180-181 (2011).
- 山倉, 柴里, 上肢モデルのためのクランク操作運動の分析, 平成22年度第9回電子情報系高専フォーラム講演論文集, pp.11-14, (2010).
- 林, 肩用CPM装置を用いた関節可動域の分析, 平成22年度第9回電子情報系高専フォーラム講演論文集, pp.15-18, (2010).


